日本におけるスーパーコンピュータの流れは、官学主導による国策としての大型スーパーコンピュータ構想と、産業界及び産学協同のより実生活や一般的な産業面に近いスーパーコンピュータの利用や設置の流れがある。
この2つの流れが、互いに影響を与え合うことでより良い方向を目指せるよう、産官学での調整が行われており、トップダウン(Web Client技術、ASIC、マイクロプロセッサ)/ボトムアップ(通信インフラストラクチャー、プロトコル、規格化)[13]の両輪がうまく動くよう計画されている。それぞれの相互技術が結びつき、切磋琢磨することで、より良い仕組みを作り上げようとする努力が続いている。
しかし、今までのNLSによる垂直型のスーパーコンピュータ構築(1点豪華主義、或いはピラミッドの頂点型)だけでなく、NIS及び民間主導での水平展開型スーパーコンピュータ構築(多くの複数頂点を持つ連峰型)が久しく求められているが、アカデミックな領域以外での進展は見られない。特に日本の産業界においてはそれ程の危機感を持って語られていないのが現状である。
過去の日本における官主導大規模プロジェクトとその産業育成施策が機能するような原始的な産業構造・経済構造から、日本の経済状況や産業構造は既に大きく成長し、より豊かで多岐にわたるものとなっている。しかし、こういった複雑で多岐に渡るニーズを汲み上げるような普遍的要求を吸収できるシミュレート基盤/計算基盤を、日本の産業界は未だに持てない現実もある[14]。
特に、産業面でのスーパーコンピュータ利用の普遍化と相対して、経済立国の足場である物造りの競争力を維持できる必要最低限のシミュレーション能力とその基盤の確保において、積極的な投資も行われず、多くの問題も内在している。そのため、民間主導での小規模でも積極的なプロジェクトの立ち上げとその強化が行われるべきであろう。しかしながら、計算機資源を確保し、有効活用するためには、開かれた計算機利用環境が必要不可欠であり、現在、政府内でも知的もの作りに関して議論が進められている。今後の民間の課題としては、せっかくあるインフラストラクチャーの有効活用であり、有効活用しながら、改善提案などを運用機関との間の協議によって深めていくべきであろう。
既存大型スーパーコンピュータ計画の連携
日本国内の官学による大型スーパーコンピュータ計画は汎用京速計算機(概念設計段階)を構築することへと目標を統一しているところもあるし、また他のプロジェクトも実施が行われ、全体としてみれば、スーパーコンピュータ(HPC)開発に、関連する分野の産官学あげてプロジェクトに取り組んでいる状況である。
現状、高速ネットワークを使用し、動作スレッド上のジョブ展開などの問題点をクリアする事が課題とされており、複数の改善施策が執られている。(詳細はスーパーコンピュータ技術史参照)
これにより飛躍的に伸びる計算能力は、学術研究機関における高度な研究における計算能力の活用、さらには産業界において世界的に激化している研究開発競争のために生かされるであろう。
グリッド・コンピューティング
各地の計算センターの複数のスーパーコンピュータを統一的に利用するための手段として米国で主唱・開発[15]され、大規模な分散コンピューティングが必要とされる分野において世界的に開発が進められているグリッドコンピューティングの技術開発に関して、日本国内においてもNAREGIが国家プロジェクトとして採択を受け、研究と構築が進んでいる。
また、国内の学校を含む、研究・教育機関に教育用に導入されているPCにグリッド基盤パッケージを導入し、現時点では利用されていないCPU資産をグリッドコンピュータの一部として活用する計画への参加を呼びかけている。
地球シミュレータによるコンピュートニクショックの後、その潜在的に大きな科学技術と国力・軍事研究の粋を挙げてHPC技術の更改と続伸を続けており、2006年8月現在、TOP500のランキングの上位50%以上をアメリカのスーパーコンピュータが占めている状況である。 近年の米国の計算機開発は、核兵器維持管理のためのコンピュータシミュレーションや高信頼性代替核弾頭など各種兵器の開発設計、作戦シミュレーションなど軍事利用の傾向が強い。そのため現在の技術開発は国防高等研究計画局とエネルギー省国家核安全保障局が中心となって進められている。国家プロジェクトに参加することで開発ベンダーに培われたHPC技術は、民間用スーパーコンピュータとして商品化され、生命科学、金融工学、VFX・コンピュータグラフィックスなど広範な分野で使用されている。
防衛高等研究計画局の方針では今後はハイブリッド型計算機の開発に取り組み、PFLOPS越えだけではなく、その先を見越した研究を展開するという。今後も、米国は世界最先端・最速のスーパーコンピュータの構築に挑戦し続けるであろう。
グリッド・コンピューティング
グリッドコンピューティングの走りとして世界中のPCが参加しているSETIやグリッドによる分散処理に向いた研究素材を集めて、共通のグリッド基盤で処理を進めるBOINCといったプロジェクトが軌道に乗っており、世界各国のプロジェクトが相乗りして成果を挙げている。
欧州
欧州各国においては、元々1980年代からスーパーコンピュータのハードウェア分野には敢て手を出さず、シミュレーションソフトやコンパイラなどの開発に力を注いでいた。次世代スーパーコンピュータに関しても、アメリカや日本のより良い部分を選択・取得し、得意のソフトウェアに注力した発展と一般化したスーパーコンピュータの普及を目指して動いている。また近年の情報社会・メディア総局の方針では、ミドルウェア開発を念頭に置いたプロジェクトを中心とすることとなっている[16]。
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イギリス
富士通を中心としたスカラ型が軍に、NECが提供しているベクトル型が気象用に導入されている。自動車・航空機開発は、現在はフランス・ドイツの両国に頼っている現状があるため不明。
フランス
航空機産業においては、Crayのシステムを導入して、衝突解析用アプリケーションソフトを開発して稼動していたことなどもある。軍事産業では、独自システムの開発が行われていた。現在は、アメリカのIBMを中心としたスカラ型が軍事用に、NECが提供するベクトル型が気象用などに導入されている。
ドイツ
NECを中心としたベクトル型の大規模スーパーコンピュータの導入と、IBMを中心としたスカラ型のスーパーコンピュータの導入を並列して進めており、バランスを重視した対応を取っている。
スペイン
IBMのPowerPC 970 2.2GHzを採用したMareNostrumを科学教育省に導入し、産官学での利用方法の検討と発展を図っている。
ヨーロッパ全体
イタリアもほぼスペインと同様で、産学での利用面において一般化したレベルのスーパーコンピュータの導入を促し、産業面では自動車産業や航空機産業での利用を進めている状況である。先鋭的なスーパーコンピュータより、汎用アプリケーションを中心とするスーパーコンピュータの導入に積極的であり、大きな予算を必要とする次世代スーパーコンピュータへの集中的な投資はあまり見えない。
アジア(日本を除く)
1990年代前半は非常に少なかったが、中国・台湾・韓国・インド・マレーシアといった国々では、スーパーコンピュータ購入や自国での構築も行っており、TOP500 クラスの新規案件が増えている。